日本刀。
それは三種の神器の一つにも挙げられているとおり、単なる武器というより日本人の精神性を現すとも言われます。古来から日本刀は邪気を祓い、強い生命力・精神力を宿すものとして考えられていました。日本各地の神社では祈願のために刀剣を奉納することが当たり前のように行われていました。国宝に指定されている数々の美術・工芸品のうち、日本刀が1割強を占めています。
5,000円札で親しみある新戸部稲造は、「武士道」という本を著しています。その著書で彼は刀を使うことを武士として一番愚かな行為として諌めています。
薩摩藩士は、刀の鍔をこよりで結び、無闇に抜刀できないようにしていたと言います。一旦抜刀すると殺すか殺されるかの世界に陥る危険性があります。勝負は鞘内にあり。つまり、激情に任せて刀を抜くことを戒めていました。争いを制し、平和な世の中を創りあげる願いを込められたのが日本刀ではないでしょうか。戦国時代からというとすでに500年以上もの長い間伝わっている刀に刃こぼれしているものは殆どありません。それは、結局武器として使われなかった証でしょう。
続く・・・